幸い  7




少し、袖を引く、その仕草だけで、勢い良く、ベッドに押さえつけられた。
部屋の中は外の月明かりで薄暗いけれど、覆いかぶされて、逆行で、顔が見えない。
腕は、両方ともベッドに縫い付けられたように押えられてて、
「・・・っ」
大きな息遣いが聞こえて、身体が固まる。
どうしても、顔が歪んで涙が出そうになって、顔を背ける。
零したくなくて、目を閉じるけれど、そのせいで目じりを伝ってシーツに染み込んだ。
「・・・や、っぱ・・・駄目だよな」
力ない声が、聞こえる。
違うよ、そうじゃない。
駄目じゃないけど・・・
震えた手を、離して貰って、その首に回した。
少し起こして、大きな身体にしがみ付くと、戸惑ったような手が背中に触れる。
押さえ込まないで欲しい。
ほんとは、すごく怖いから。
「ご、ごめん・・・」
身体を起こして、ベッドの上でで抱き合った。
僕の震えが止まっても、抱いた手は動かなくて、僕は自分から、その顔を覗き込んだ。
すごく、緊張してるのか、固まってる。
僕は笑ってしまって、も、いいよ?
ねぇ、キスして?
蕩けるようなヤツ。

  そしたら、怖くないかもしれないよ?


to be continued...



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