幸い  3




ベッドの中に潜り込んで、身体を丸めた。
布団越しの背中に、声が聞こえる。
「・・・ごめん」
何で謝るの。
イライラ感と、悲しさでいっぱいになって、涙が・・・っ
悲しい。
何で謝るの、謝ったら全部納まると思ってるの?
許すとかじゃなくて、悲しすぎて怒りが納まんない。
「ホントに・・・ごめん」
布団の端を掴んで、辛そうな声が響く。
僕は我慢出来なくて、勢い良く跳ね起きた。
何で謝るのか、怒鳴ったのに、俯かれて、
「・・・その・・・ムリヤリ・・・」
小さく呟かれて、また腹が立つ。
良く聞こえない!
ちゃんと言って!
何でするの、なんでしたいの。
何がしたいの?
言ってくれなきゃ、絶対許さない!!
涙目になって怒ると、すごく困った顔して、苦しそうな顔して、ベッドの横に座った格好のまま、そのベッドに額を押し付けて、握った手に、凄く力が入ってるのが解って、それでも、搾り出したような声はちゃんと聞こえた。

 「・・・・抱きたい」


to be continued...



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