試練  5




「・・・俺のこと、なんとも思ってないなら、ここで帰って?」
俯かれて、表情が見えない。
なんともって、これ以上に無いくらい、思ってるし、考えてる。
怖くて、口に出せないだけで、頭ん中は、お前のことで一杯で、とてもじゃないけど、言えないことまで、しちゃってる。
手が、震えてる。
この、細い肩を、抱きしめていいのか、震えてる。
俺が、息を呑んで、その肩に触れる瞬間、
「・・・なんで何も言ってくれないの?・・・もう、いいよ、帰って」
赤らめた頬の顔が、拗ねたように尖らせた口が、俺を見て、俺は何も考えれなかった。
いいや、理性が切れた。
腕を掴んで引き上げて、その小さく開いた唇に、噛み付いた。
驚いた手が、俺の服を掴んで押し返すけれど、そんな抵抗、受け入れられなかった。
初めて触れた、その唇に、ただ貪り付く。
「・・・、っん、ん・・・!」
苦しそうな声に、全身が欲情した。
それに、我に返って、勢い良く、身体を離す。
俺の手から逃れると、そのまま床に座り込んだ。
頬を染めて、驚いた顔で、固まってる。

―――やばい。
やばいって!
絶対!!
どうしよう、土下座したら、許してくれるかな。


to be continued...



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