試練  4




仕方ないけど、当たり前だけど、自分でも情けないけど、その背中を見つめるだけで、部屋の前まで帰ってきてしまった。
ドアに鍵を差し込んで、回す。
また、ここで終わりか、俺がそうため息を吐くと、部屋に入ろうとした体が振り向いた。
「・・・ちょっと、聞きたいこと、あるんだけど」
それって・・・
入ってもいいの?
俺の返事を待たずに、ドアを開けっ放して、中に入ってしまった。
自動的に、俺は入って、ドアを閉める。
狭い玄関で、靴も脱がずに、二人で並んだ。
俯いて、俺のほうに身体を向けて、
「・・・俺のこと、嫌いなの?」
呟かれた。
そんなこと、あるはずない!
それって・・・いいのか?
このまま、抱きしめて、言ってしまっても、いいのか?

  ただ、聞いただけじゃ、ないよな?


to be continued...



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