試練 3
俺が前に立つと、俯いた顔で上目遣いに覗かれて、思わず、手が出そうになった。 細い肩に触れる前で、止まってしまったけれど。 また、俯いて、細いうなじが、よく見える。 「・・・・」 何も言わない。 何も言ってくれない。 だから、このまま抱きしめたくて、引き寄せたくて仕方ないのに、手がそれ以上動かなかった。 俺が抱きしめたら、壊れそうなほど、細い体が、少し震えてる。 それが判ったから、俺は決意した。 どうなったっていい、このまま抱きしめたい、と、思った瞬間、 「意気地なし」 はっきりと耳に響いた。 そして、そのまま一歩引いた。 俯いたまま、俺に背を向けて、歩き始めた。 俺は・・・俺は、地面にのめり込みそうだ・・・ それでも、風に吹かれたらそのまま飛んでいきそうな俺は、足を動かして後を追った。 小さな背中を、今、後ろから抱きしめたら、・・・・どう思うかな。 嫌ったりしない? |
to be continued...