試練  2




決意して、俺は腕を回そうと伸ばしかけたとき、するりと立ち上がられた。
雨を避けていたバス停から一歩出て、振り返る。
「止んでるよ」
俺はあっさりとした声に、かなりの落胆を見せた。
どうして、どうして、もう少し早く、行動してなかったのだろう。
「・・・ねぇ」
言われて、俺も帰ろう、と立ち上がった。
なのに、行こう、と声をかけられたと思ったのに、俯いたままで、俺は少し覗き込んだ。
「・・・帰るの?」
その、目を伏せた呟きに、俺は唇が震えた。

  いいの?

  帰らなくていいのか?

  それともただ尋いただけ?

もう一度、今度は誰からも避けるように、バス停に戻ってもいいのか?


to be continued...



BACK  ・  INDEX  ・  NEXT