愛し愛され  ―皇紀―  5




皇紀は動揺した自分に驚いたけれど、眉を寄せて恭司を睨んだ。
不思議な言葉を聞いた。
しかし、すんなりと納得してしまった。
皇紀はこの目の前の子供にすでに嵌ってしまっているのだろうか、と自分に問いかけた。
答えは解っているけれど、認めたくない。
すっかり安心しきった顔の相手を警戒する。
「・・・あのね、なにを冗談を・・・って、こら!」
皇紀はベッドにいきなり押さえつけられて、恭司の肩を押し返す。
しかし、圧し掛かってくる力は大きい。
「すげぇ、ヤリてぇ・・・コウキさん」
「駄目だって言ってるだろ! もう、かえ・・・っん」
皇紀の言葉は、口で塞がれた。
荒い口付けが次第に優しく口腔を探り、皇紀はその条件反射で答えてしまう。
「ん・・・っ」
皇紀より大きな手が身体をなぞる。
皇紀しか抱いたことのないはずの手は、すぐに皇紀の性感帯を探り当てて皇紀の抵抗を失くする。ズボンの中に、その奥まで伸ばされた手に、皇紀は情けなくも反応してしまう。
「ん・・・あっ」
身体に口付けを落とされて、皇紀は自分が恍惚に浸るのを感じた。
触れられると、中に欲しいと思ってしまう。指が与えられると、それ以上のものを強請ってしまう。
皇紀は淫欲に正直な自分の身体が嫌いだった。
視界が緩む。
溢れた涙が、目尻を伝って零れた。
「・・・コウキさん・・・好きだ、もう、まじで・・・好きだよ」
懇願のような声で、囁かれる。
皇紀は信じたくなどなかった。
子供を相手にしたくもないし、もう誰も好きになりたくなどなかった。
皇紀は首を左右に小さく振り、
「・・・好きに、なり・・・たく、ない・・・っ」
「もう遅いだろ・・・な、そうだよな・・・?」
「いやだ・・・っ」
「やだじゃねぇ・・・ほら、俺の・・・欲しいんだよな?」
「あ、あぁっ、」
皇紀の中で長い指が動く。
探るように、しかし浅く。皇紀は欲しかった。
でも首を縦には振らない。
「俺を好きになれよ・・・ずっと、抱いてやるから・・・」
「あぁっ、や・・・!」
「抱かせてよ、コウキさん・・・俺のもんになってよ・・・」
「あぁあっ・・・や、も・・・っ」
皇紀はその声が、暗示のように聞こえた。
なりたくなどないのに、なったらまた後悔するのに。
それでも欲しかった。
信じたくないけれど、身体は正直だった。
「・・・俺の本気を甘く見るなよ」
足を抱えられて、皇紀は息を呑んだ。
硬い異物の挿入を、受け入れてしまう。
「・・・一生かけて、愛してやるからな」
そんな言葉はいらない。
嘘など吐かれたくないから。
皇紀は泣きながら恭司を受け入れた。
今は身体が欲しかった。
皇紀は敏感に反応しながら、何も言うなと言った。
欲しいときにとりあえず身体をくれるなら、信じられない言葉など欲しくないと泣いた。


to be continued...



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