愛し愛され  ―恭司―  2




名前を教えてくれた、隣のコウキさんは、未だに俺に心を開かない。
弾みで、こうなったのは解ってる。
お互い酔っていたし、そのときは、俺だってその場限りだって、思ってた。
けど、想いなんて変化するものだ。
「ただたんに、男の身体が珍しいだけだ」
コウキさんは、そう言って俺のことを真剣に受け止めてくれない。
確かに、男を抱いたのって、初めてだったけど・・・
そうじゃないだろ。
あの時、もっかい風呂場で抱いたの、怒ってんのか?
でも、身体は反応してた。
「条件反射だよ・・・こうされたらなるんだ、もう」
そう言ったとき、顔に翳りがあるのを見逃さなかった。
「男に抱かれるのは慣れてるけど、君とはもう、しない」
「なんで」
「なんでも・・・」
「俺は、したいんだけど」
「・・・新しいおもちゃには、すぐ飽きるよ。可愛い女の子を、誘いなさい」
「飽きなかったら?」
俺は、ここで引けない。
「絶対、飽きるよ」
「そんなの、わかんねぇだろ」
「・・・・解るよ、そのうち、うっとおしくなるから」
「なにが?」
「・・・なにもが」
「あんた、俺のことそんなに知ってんの?」
「・・・知らないよ」
「じゃ、なんでそんなこと言える?飽きないかもしれねぇだろ。俺がわかんないこと、なんであんたが決めんの」
「・・・・子供には、解んないよ」
「その子供に、しがみ付いてたじゃん、ずっと」
その頬に、赤みが増す。
うっすらと、誘うような色。
絶対、それ、誘ってるよな?
「あんただって、離して欲しくないって、すげぇ食いついてたじゃん」
「・・・っうるさいな、条件反射だよ!」
「抱かれるの、気持ち良い?」
「・・・良いよ」
紅い顔で、俺を睨みつける。
益々、煽ってるって・・・
「だって、僕はそれが好きだから・・・だから、君にはもう抱かれない」
「なんで」
「ヘテロの相手まで、してらんないよ」
「じゃ、ゲイになる」
「あのね・・・!」
「どうでもいいけど、もう、いい?」
「何が?」
少しむっとして、言い返したコウキさんを、そのままベッドに押し付けた。
「もう、我慢できねぇ」
「ちょっと・・・!」
「あんた、今まで何人誘ってきたの?」
「何人って・・・、こら、待ちなさい!」
「待てるかっての、その顔、反則だろ」
「顔?!」
形のいい眉を顰めて、抗議しようとした口を、塞いだ。
抵抗する手を、ベッドに押し付けて、体重をかけて、押さえ込む。
力じゃ、俺に敵うはず、ないだろ。
大人しく抱かれてろよ。
条件反射、だろ・・・
ああくそ、マジでむかついてきた・・・!
解ってんのか?あんたのせいなんだけど!
条件反射になるほど、抱かれやがって・・・!
乱暴に抱いて、泣いても、止めねぇ。
これが、俺の抱き方だ。
覚えろよ、身体で。
・・・・マジで、心臓が痛いんだよ、あんた見てると。

これって、惚れてるって、言わねぇ?


to be continued...



BACK  ・  INDEX  ・  NEXT