極悪外道  4




「・・・っ」
車内に響く、息を殺す声。
内股をなぞり上げられて、思わず唇を噛んだ。
横目で、睨みつける目に、涙が浮かんでいるのが、解る。
でも、どうしようもない。
「どうした」
なんでもないような台詞に、笑みが含まれている。
「前を見ろよ」
助手席に座った夏流の声に、慌てて前を見る。
広い駐車場だ。夜はほとんど車が止まらない場所のようで、よくこんなところ知ってるな、と言っても、軽く流されるだけだ。
一度運転してみたい、という希望を叶えられたのだけれど、こんなこと、されたいなんて言った覚えはない。
「ほら、右に切れ。ぶつかるぞ」
「あ、うん」
回ったところで、また手が膝にある。
「ちょっと、危ないだろ!」
「どうして」
「って・・・!」
身体が、震えるからだ。
言いたいのに、睨みつけるくらいしかできない。
「これ、良いな。車ン中で、出来る」
「なっなにが!」
「お前、頼んでもしてくれないしな」
「なに?!」
膝の上にあった手が、俺の中に入って来て、その冷たさを全身で感じてしまう。
「・・・っ」
ステアリングを握る手に、力が入る。
「や、やだ・・・!」
「ここは、嫌がってない」
「・・・危ないから!」
「お前となら、心中しても良い」
「俺はやだ!」
本音を言ったのに、その裏を何故か読まれて、その何もかも解ったような顔!

いつか絶対後悔させてやるからな!


to be continued...



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