純情可憐  5




「いや・・・っ」
部屋に響いた震えた声。
それだけで、背中がゾクリと震える。
「ま、待って・・・なつ、る、それ、なに・・・っ」
「夏流じゃない」
「やだ! 夏流!」
違うように抱くことなんて、簡単に出来る。
ネクタイで視界を閉じて、ベッドに倒した。
相変わらず、細い身体がそれだけで誘ってる。
「取るなよ・・・ほら、これ、誰の手だ・・・?」
「や・・・っや」
「・・・春杉かな」
耳元で囁いて、頭の中に映像を思い浮かべればいい。
春杉の手が、今はあると思えば良い。
「いや・・・!」
「・・・緊張してんのか? もう・・・こんなになってるぞ」
ゆっくりと手でなぞりあげる。
張り詰めた貴弘のそれは、すでに硬くて震える手が、どうにかして欲しいとシャツを握り締めた。
「・・・誰に、強請ってんだよ」
「・・・っ」
「言えないのか・・・?」
その手を離して、腰に顔を埋めた。
手でなぞったラインを、舌で這わせる。浮き出た腰骨が、甘い。
「んぁ・・・っ」
足を抱えて、手で弄んだところに口付ける。
息を吹きかけるだけで小さく振るえ、雫が溢れる。
「あ、ぁ・・・っ」
手は拘束していないのに、外そうと思えば、すぐに無くせる暗闇のままで、それって、充分楽しんでるって、理解していんだよな?

今、誰に抱かれてるつもりなんだ?


to be continued...



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