最悪な男  4




声を出したくなくて、口を塞いだ。
息が出来なくて、苦しかったけど、口を開いたら絶対に声が出そうだったから。
「・・・出せよ」
我慢してる俺に、涼しい顔で笑う。
胸の上にあった手が、俺の口を開く。
「我慢するな、どうせ俺しか聞いてない」
「あ・・・ふぁ・・・っ!」
俺の中心にあった手が、いつものように、いつもと変わらず、動く。
「あ、だ、だから・・・っやなん・・・!」
「他のヤツになら、いいのか?」
「そうゆ、んじゃなくて・・・!」
いつもより、狭い場所で、いつもより、響いてる気がする。
対向車のライトで、車内が照らされた。
「や・・・!」
倒されたシートの上の俺に、天井に頭をぶつけないように、覆いかぶさって、そして服が全く乱れてなくて。
恥ずかしさが止められない。
反射的に袖を掴んで、見上げた。
本当は睨み付けたかったけど、身体に力が入らない。
「ここ、ほんと、ヤだ・・・!」
「お前・・・」
暗闇の中で、口端が上がった気がした。
「わざとか?」
「・・・え?」
「俺に、どれだけ我慢させれば済むわけ?」
「?なに・・・」
「近くのホテル、入っていいんだよな?」
すぐに判らなかった。
「けど、一回抜いてやるよ」
「え・・・な、夏流、待って・・・」
「待たない」
その言葉通り、されてしまった。
この男には罵声も通じない。

  馬鹿夏流!!


to be continued...



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