最悪な男  3




放課後になって、友達に言われた。
「今日、夏流先輩とどっかいくのか?」
今日はご飯を食べに連れて行ってくれる約束だった。
大学のほうが早く終わるので、迎えに来てくれるらしい。
「うん」
「その格好で?」
制服を見たけれど、着替えるなんて、聞いてない。
「うん」
「・・・・迎え、来てるみたいだぞ」
友達は、俺の目を見ないで、呟いた。
俺はその意味を、校門に走って、理解した。
「遅い」
車に身体を凭れさせて、一言言われた。
格好はいつもと変わらない。だけれど、背景が違う。
「・・・・・」
「どうした?」
俺は、震える拳を握り締めた。
「な・・・っなんだコレ!!」
深紅に輝く、男なら一度はあこがれる高級スポーツカー。
「こ、この間までは、濃紺のレディだったはず!!」
「ああ、だってこの間、コレ見かけて、乗りたいって言っただろう」
俺は、その場に崩れそうだった。
下校時刻の、周囲の視線が痛い。
不敵に笑って、恐ろしく、その車も似合ってしまっている。
「乗らないのか」
何も言えない。
従うしかない。
随分、手の込んだ嫌がらせだ。
「・・・っ最悪・・・!」
「どうも?」

  だから、誉めてない!!


to be continued...



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