愛してなんていないくせに  2




「ウミガメが産卵するときに出す涙は感情なんかないんだって」
「なに?」
「生理的なもんらしいよ」
「だから?」
素肌が覆いかぶさって、俺の右足を持ち上げる。
俺の言葉なんて聴いてないように、男は腰を進めた。
「・・・っ、はぁ・・・」
受け入れて、息を吐き出してから、見上げる。
「涙が出るのは、感情なんか付いてないってこと。もう、条件反射?」
大きな手が、俺の目に浮かんだ涙を掬い取る。
それを嘗める。
その舌、すげぇイロッポイ。
思ったら、男はいきなり身体を揺らした。
「あっ、あぁっ」
「それが、なんか関係あるのか?」
一番良いところを擦り上げて、涼しい顔で俺を見る。

その目。

一番、感情なんて無縁だよな?
ホストのくせに、もっと相手を喜ばせてみろよ。
ああ、俺は客じゃないよな。
じゃぁ、なんでセックスしてるんだろう?
「早く・・・っもっとっ」
男の背中に手を伸ばして、快楽だけ求める。
早くして欲しい。
巧いのは知ってるけど、こいつに抱かれる意味って、
どこにあるんだろうな。
やっぱり、止めようか?


to be continued...



BACK  ・  INDEX  ・  NEXT