幸い  1





すっごく、複雑そうな顔をしたけれど、でも、それでも僕の言うこと、聞いてくれた。
「なぁ・・・一緒に、寝るのか?」
晩御飯を食べて、お風呂に入って、テレビを見て、あとは寝るだけ。
シングルのベッドを前に、動かなくなっちゃった。
一緒に、寝てくれないのかな。
僕が少し俯いて呟くと、顔を勢い良く振る。
「そん、そんなこと、ないけど!」
僕はベッドに乗って、その手を引く。
「あの・・・俺、床でいいから」
床?
でも、うちに布団の余裕なんてない。
「大丈夫、どこでも寝れる」
そう言っても、フローリングの上でなんて寝させられないよ。
どこでも寝れるなら、一緒に寝てもいいじゃん。
少し、拗ねて見せた。
僕のこと、好きって言ってくれたの、嘘だったの?
「そん・・・な、わけ、ねーだろ!だからだよ!」
なにが、だから、なの。
僕、もう眠いのに・・・
じゃぁ、手、繋いでて?
僕が寝るまで、ずっと、傍にいて?
俯いて、何かを言っていたけれど、よく聞こえなかった。
でも、手を繋いでくれた。
布団に入った僕の手を、しっかり握ってくれる。
僕ね、すっごく、嬉しい。
ちゃんと、好きって言ってくれて、嬉しい。
もう、僕のだからね?
ずっと、傍にいてね?
僕が、眠たくて、それでも気持ちを言いたくて、きっと、最後のほうは、あんまり言葉になってなかったかもだけど、なんども頷いてくれた。
それに安心して、僕はゆっくりと瞼を落とした。

ごめんね、ほんとは、解ってるよ。
でも、ほんとに、ちょっと、怖かったんだ。それだけ。
これは、言えないけれど。


to be continued...



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