極悪外道  1





縛られた。
手に、紅い痕が残ってる。
絶対イヤだって言ったのに。
ひとつに纏められた手を、頭上で押さえつけられて。
「・・・っや、やだ、解いて、離して・・・っあッ」
「このままでも、いけるだろ」
「やだ・・・あ!」
涙で、よく顔が見えなかったけれど、すごく視線が痛かった。
身体だけ揺すられて、一晩中、追い立てられて。
泣きたくなくても涙が出る。
「・・・お前が悪いんだろ」
「ちが・・・っ違うってば・・・!」
全然信じてくれない。
あの人とは、なんともないのに。
なんとも思ってないのに。
こんなこと、したいなんて思わない。
だって、夏流じゃないのに・・・
それは、ちょっと、声がイイナって、思ったけど。
それだけだ。
なのに許してくれない。
「まだだ・・・まだ、いくな」
「・・・・っ」
耳元で囁く、この声には誰も勝てないのに。
脳髄まで響く。
その声に言われて、何度も謝らされた。
目が覚めたら、横にまだ寝ていて、俺の手は解かれていて、でも、体中で覚えてる。
何をされたのか。
俺が睨みつけてると、目を覚ましたのか、瞼が動いた。
「・・・・・」
俺を見て、何にも言わずに、また目を閉じる。
「・・・・っ」
この、寝起きの悪さだけはどうにかして欲しい!
「ばか夏流!!」
何とか言えよ、このクサレ外道!!


to be continued...



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