拍手13 初めての×××  



1 初めての強姦


レキフミ

「強姦? そんなことした覚えがないですね」
「・・・・・君ね、よくも堂々とそんなことを・・・!」
「ないものは、ないですよ。ミチルさんは、もしかしてあるんですか」
「ないよ! された覚えはあるけど!?」
「誰にです?」
「・・・っあの時の! あれは強姦じゃないって・・・!?」
「あの時?」
「き、君が初めて、俺に――・・・っ」
「ああ、あれですか」
「あれですか、じゃないだろう!」
「だって結局最後には、合意でしたでしょう? ミチルさんが厭だというのはいつものことですしね」
「最後って・・・! まさか、今までもそうやって、言いくるめて・・・っ」
「否定はしませんが」
「・・・・っ本当、最低だな、君は!」
「最低で結構です。それよりミチルさん・・・」
「煩い! 俺は今機嫌が悪いんだ!」
「・・・・どうしてですか?」
「それくらい自分で考えろ!」
「俺が他の人間を抱いたと知ったところで、それは全部過去の話ですけど?」
「・・・・・・っこの強姦魔・・・っ」
「子供みたいに拗ねないでくださいよ」


2 初めての犯罪

立見

「初めて? んなもんしたことねぇよ」
「嘘ばっかり・・・」
「うるせぇ克。お前に言われたくねぇよ」
「当たり障りのないところでもいいんじゃないかな・・・」
「ああ? あー・・・十歳のとき、親父のヘソクリぱくった」
「バレた?」
「バレた。思いっきり殴られて一ヶ月ただ働きした」
「よくそれで済んだねぇ・・・」
「あれ以来、自分の金は自分で稼いだほうがましだって気付いたが」
「立見って、バイトが趣味みたいだよね。怪我の功名かな」


3 初めての挫折

夏流

「俺が?」
「あんのか?」
「どうしてお前がそんなに楽しそうなんだ」
「だって夏流だぜ? 天上天下唯我独尊なお前が挫折?」
「失礼だな、前田。俺はいたって普通の人間だ」
「・・・・・どの口がそんなことを。一度だってそんなこと、思ったこともないだろ?!」
「あるさ」
「じゃあ挫折ってなんだよ?」
「・・・・・今度しておく」
「ほらみろ!」


4 初めての誤算

央二

「誤算? そんなの日々いくらでもあるよ・・・?」
「マジかよ? 例えば?」
「そうだなぁ・・・昨日の姫也の誘い文句なんて、想像以上であれは・・・」
「・・・・っ!! んなこた訊いてねぇよ!」
「じゃあなんだって言うのかな・・・」
「いいよ、もう。お前にそんなもんねぇって知ってるし」
「そう?」
「お前の人生、思うとおりって感じだろ」
「まさか・・・さすがにそこまでは」
「そこまでってことは、ある程度は自覚もあんだろ」
「・・・・・・」
「・・・なに、その嘘くせぇ笑顔!!」
「いや・・・俺の誤算、姫也がこんなに可愛いとは思わなかったことかな」
「・・・・・・言ってろ、この馬鹿王子!」


5 初めての反抗



「初めて? 初めてじゃないじゃん、新ってば」
「え・・・っだ、って、でも、俺、いつも・・・」
「反抗なんかしないって? てかさ、反抗、なんて、僕がいつもひどいことしてるみたいじゃない?」
「・・・・・えっと、」
「認めるの」
「・・・・・・ええとっ」
「認めるんだ!? そうなんだ?! 新ってば、そんな風に僕のこと思ってたんだ!」
「ち、チナ・・・っや、そうじゃ、あの、」
「ひどい新! そんなのだったら、僕にだって考えがあるんだから!」
「え・・・っな、なに?」
「新は僕のものーって、この窓開けて叫んじゃうよ!」
「・・・・・え、それは、別に、いいけど、」
「・・・・・いいの?」
「・・・・・いいよ?」
「・・・僕、トキドキ、新って天然だなーって、思うよ」
「え?! どこが?!」
「秘密」
「え・・・っ」
「新のいいとこは、全部僕のだから。新にだって、教えないよ」
「・・・・・・チナっ!」


6 初めての自家発電

春杉

「自家発電? て、なんだ?」
「・・・したことないわけじゃ、ないよな、松島?」
「したことって・・・だからなんだよ?」
「寒いときに、すぐに暖まれる方法」
「どうしたら発電するわけ?」
「アレ擦ったら熱くなる」
「あれ・・・・・・・・・・ってアレ?!」
「あれ」
「てめ、何の話してんだよっ!」
「だから、自家発電」
「それがいつだって?!」
「あー・・・・十歳、かな」
「・・・・・このマセガキ・・・っ!」
「お前は? したことないってことは、ないだろ」
「・・・・・・・・・」
「黙秘は身体に聞くぞ」
「エロ春・・・っ」


7 初めての恋文

仁埜寺

「初めてっていうか・・・そうだね、先日書いたあれが、そう言うのかなぁ」
「・・・それはもしかして、俺が受け取ったやつですか?!」
「そうだよ? 紀志裄以外の誰に書くのかな」
「あれが恋文?!」
「僕の想いを綴った手紙なんだから・・・そうだろう? 伝わっただろう?」
「そのまま灰皿の上で燃やしました」
「ええ?! なんて酷いことをするんだ君は!」
「だ・・・っだって、あんなもの嫌がらせにしか思えませんよ!」
「何をどうしたら嫌がらせになるんだい?!」
「あんな恥ずかしい内容、セクハラですよ!」
「せ・・・っそんなこと、僕は初めて言われたよ!」
「そりゃ誰も遠慮して言わなかっただけです! セクハラです先生!」
「せっかく・・・僕のこの熱い想いを伝えたのに・・・」
「だからって! 俺のどこがどうとか! 普通書かないでしょう!」
「書くよ!」
「・・・・・・その考えを改めない限り、俺に一切触れないでくださいね」
「えええっなんで?!」


8 初めての勉強

キナ

「勉強? ガッコ行ってる間はしてたよーちゃんと」
「・・・していたのか?」
「してたよ、だって頑張ったらご褒美って貰えたし」
「・・・・誰から」
「誰って・・・・・・・・」
「誰から」
「・・・やだなー犬養さん、なんでそんな睨むかなーもちろんさ、その・・・」
「誰だ」
「・・・・男の過去に触れるなんて野暮だよっ!」
「キナ、勉強するぞ」
「えっ、これから?!」
「そうだ。教科書も全部揃えてやる」
「な・・・っなんで!?」
「俺が教え直してやる」
「要らないよ!」
「どうして」
「どうしても! ヤキモチも妬き過ぎると、キライになるからなっ!」
「なってみろ」
「・・・・っ犬養さんなんか・・・っ」
「嫌いだって?」
「き・・・っ犬養さんの馬鹿―!」
「馬鹿で結構」


9 初めての経験

春則・菊菜

「初めての〜? んなもん覚えてないなぁ?」
「・・・・・っ」
「あれ、菊菜ちゃん真っ赤だね? かわいいなぁ、こりゃ立見くんも堪んないよなー」
「えっええっ?!」
「ほっぺたぷにぷに、お肌スベスベ・・・これ若いだけってことはないよなぁ?」
「あっあの、触らないでくださ・・・っ」
「ダメ〜」
「だ、駄目って・・・あのっ春則さ・・・っ」
「は・・・春則さん!! うわー、俺そんな風に呼ばれたの初めてかも!」
「はい?」
「もっと呼んで?」
「あの、なんで、春則さん、手が・・・腰、に、」
「うん、細いね、菊菜ちゃん」
「や、じゃなくて、あの、後ろに・・・」
「へ? 後ろ? ・・・・・・繕っ?! なんでここに?!」
「なんで? お前は何をしている」
「ええとー・・・・・・・別に、ね、菊菜ちゃん?」
「・・・・春則さんっ」
「二人して睨むなよー・・・ええとー」
「春則」
「春則さん」

「・・・・すみませんでした」


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fin



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