| 星の数え方 力の抜けた身体を持て余すようにベッドへ倒れこんだ深津の、左腰骨の背中側へ口付けた。 熱の篭った肌より、航太郎の唇が熱い、と感じた深津は首を振り向かせてそれを見た。 「・・・いつも、そこに、しますね?」 時折、指先が執拗にそこを撫でるのも深津は気付いていた。 そこに触れられると、身体が反応してしまうようにもなってしまったのだ。 航太郎は気付いたのか、と目を細めた。 「うん、ここ・・・ほくろが二つ並んでる」 「え? 本当に?」 驚いた深津は肘で身体を支えて、腰を捩って自分でそこを見ようとする。 背中の下など、自分自身ではあまり気付くところではない。 珍しくてつい、触れてしまうのだ、と航太郎は理由を苦笑しつつ教えてくれた。 「あと・・・ここ、肘の内側」 腰を捩ったままの格好を悩ましいな、と感じつつも航太郎はその右手を取って小さくあるほくろを教える。 「それから、鎖骨の下」 「・・・・・」 教えられた場所は、いつも航太郎が舐めるように触れる場所で、その痕跡も一番多かった。 「深津の身体は綺麗だから、他にほくろも傷もない」 深津自身よりも、その身体を知っている、と教えられて深津は顔を染めて体温を上げる。 恥ずかしさを込めながら、深津は悔しそうに眉根を寄せて航太郎を睨んだ。 「・・・・ずるい」 「え?」 「ずるい、航さん、自分だけ」 「・・・・何?」 深津はベッドの上で航太郎に向かい合って、 「僕も、探します、ほくろ」 「・・・・俺の?」 「そうです」 だから、身体を見せてください、と言われて航太郎は嬉しそうに苦笑した。 まず手を取って、深津はじっとその肌の上を見つめる。 自分より逞しくあるそれを不思議に思いつつも、大人しくしている航太郎の身体を調べた。 「あ! あった!」 右肩の裏にひとつ小さなそれを見つけて、深津は子供のように喜ぶ。 喜ぶ深津が嬉しくて、航太郎も目を細めた。 笑われて、深津は幼い自分の行動に気付いて少し気持ちを落ち着ける。 「深津?」 「・・・航さんは」 「ん?」 深津も何度も触れる航太郎の身体を知らないわけではない。 左腕の、その上のほうへ付いた斜めに走った傷跡を指でなぞり、辛そうに顔を顰める。 その傷が、もう昔のこととはいえ自分のせいで付いたのだと知っているから、傷もない自分の身体を少し恨んでもみる。 「深津」 深津の表情を読んだ航太郎が心配そうな声で呼ぶと、深津は拗ねたような顔で航太郎を睨んで、 「航さんの身体、僕だって、知ってること、あります」 「ほくろ?」 「そうですよ、航さんは、知らないかもしれない」 「ん、どこ?」 「それは・・・」 口を開いて、深津はさっきよりも顔を赤くしてしまう。 「・・・深津?」 深津は唯一知っている航太郎のほくろの場所を鮮明に思い出して、真っ赤になった顔を俯かせた。 「深津、教えろよ」 「・・・・っ航、さんっ」 「俺、教えただろ?」 笑みを含んだ声を耳元でされて、深津は自分が躊躇う理由を相手が知っていることを知った。 「深津のキスが――そこに、欲しい」 熱を含んだ声に囁かれて、深津は再び肌を重ねることになるのを覚悟した。 |
fin.