初雪






冬になった夜。
充分に暖めた部屋で、温かいロシアンティを飲みながら、深津は不安そうに暗い夜を映す窓を見ていた。
こっそりと盗み見るような仕草だったけれど、航太郎は目敏く気付いた。
「寝るか?」
「・・・・あの、」
マグカップの中身を飲み干して立ち上がると、深津は中身のないカップを手の中で玩んで、
「・・・・あの、」
躊躇って口を開く。
それを待ってもいいけれど、顔がすでににやけてしまっている航太郎は、
「湯たんぽ、使うか」
両手を広げて相手を待った。
深津は見抜かれていたのを恥じらって顔を染めつつも、その腕におさまる。
温かさを確認して、思わず航太郎は笑った。
「ご利用毎年有難うございます」
「・・・・だって、寒いんです」
拗ねた口調になりながらも、深津は温かい腕から出ることはなかった。
暑さが苦手で、寒さの嫌いな深津が、人間カイロに抱いてもらって目を閉じる頃、闇の空から真っ白な羽根のような雪がチラついた。


fin.



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